世に問う!言わずにはいられない
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286.種苗法と種子法について 2020年7月8日
種苗法とは、知的財産権の一つで、植物の新品種の創作に対する保護を定めた法律であり、22年前の1998年5月に公布された。
一方、種苗法と混同しやすいのが種子法だ。
種苗法は創作の権利を守る為の法律なのに対して、種子法はコメや大豆、麦と云った主要作物について、優良な種子の安定的な生産と普及を「国が果たすべき役割」であるとすることを定めた法律である。
1952年(昭和27年)5月に制定された。
つまり、種子法は公的機関が研究開発により創作した種子を安定的に農家などに提供し、利用できる権利を守る為の法律である。しかし、残念ながら種子法は2018年(平成30年)4月1日をもって廃止になった。これについては「主食」と云う観点から、色々問題がありそうだ。

廃止によって、新品種開発への民間参入により、新品種の利用が制限される可能性があるからだ。コメや大豆、麦と云った主要作物の生産農家にとっては、先の見えない不安があるのではないだろうか。
片や、種苗法の改正案(家庭菜園は対象外)が第201回通常国会で見送られた。
新型コロナ問題で十分な審議時間が確保できないとの理由のようだが、著名人の反対が大きかったのではないだろうか。

改正案について、物議を醸しているのが農家の自家増殖原則禁止である。つまり、今までは、研究機関や企業及び個人が新品種を開発したその種や苗を農家が購入し、自由に栽培できた。しかしながらそれを禁止、或いは制限しようとの改正案のようである。

確かに、農家の自家増殖を禁止するのは、育成者権が認められている作物のみと言及し、在来種や固定種の自家採種を禁止するものではないとのことだが、不当な海外流出を阻止する上でも、何らかの規制が設けられる可能性がありそうだ。
また、改正案の問題として挙げられる一つが、登録品種による自家増殖の許諾制だ。
この許諾性については農家の高齢化等を鑑みると、事務手続きの複雑化などの問題が懸念される。
改正案の一番の目的は日本ブランドの保護にある。
何故ならば、日本の研究機関や企業及び個人が開発した品種、つまり日本ブランドが、正規ルートを通さずに海外に流出しているからだ。
確かに、種苗法は知的財産権の一つ。苦労して新品種の開発に成功したものを、知らないうちに知らないところで勝手に使われたりするのは許し難い。

一般的な解釈として、特許権や著作権、商標権などは法的に守られて当然至極である。
例えば現在禍々しい新型コロナ問題で世界中が苦境に立たされているなか、医療研究機関や薬品メーカーが日夜、寸暇を惜しんでワクチンや特効薬の開発に力を注いでいる。
幸いにもワクチンや特効薬の開発に成功し、特許を取得して世に出したところ、情報が洩れて他者に真似をされるなどした場合は、当然損害賠償の対象になる。勿論刑事事件でもある。

しかしながら現行の種苗法は、自家増殖が認められていることから、情報が洩れたり、日本ブランドが正規ルートを通さずに海外に流出しているのが現実のようだ。勿論、現行法でも不正な流出は禁止だ。
知的財産権を有する側からみれば、確かに、改正すべきと考えるのが妥当だろう。しかしながらそもそも、農業の基本的な理念は我田引水を嫌うものだと私は解釈している。
特許権や著作権のような商業的主張とは一線を画し、収穫物を皆に分け与えるなど、「おすそ分けの精神」、利他愛の精神が色濃く残っているのが農業の世界観であると私は思っている。
農作物、即ち食料は万民の為のもの、新しく開発された種を購入した農家から、その種や苗を次期作とする権利を奪い、規制をかけるのは如何なものであろうか。
今秋の臨時国会で審議にかけられるとのことだが、農業の基本的な理念を考慮し、「食育」の原点に立ち返りながら慎重に審議していただきたい。そのことは、前述の種子法廃止についても云えるのではないだろうか。



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