世に問う!言わずにはいられない
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336.食料安全保障の今後はいったい? 2022年11月15日
日本の食料自給率はカロリーベースで38%程度。残りの62%は海外からの輸入に頼っていることになる。
ものによっては殆ど海外に頼りっぱなしだが、輸入できない事態になった時にはどうするのか・・・。
本来なら食料自給率100%が国民の生命を守り、命を繋ぐ上でも必要不可欠な国策だ、と云えるのではないだろうか。
先日のASEAN関連首脳会議で、岸田首相が「強靭な農業を」と話していたが、経済合理性に特化した単なる方便としか聞こえてこなかった。
本来の意味での自給率向上を強く、しかも早急に目指すにはどうすべきかを具体的に示してほしい。

現在、唯一100%をキープしているのが主食で「ある筈」のお米だが、その主食で「ある筈」のお米の生産も危うさを隠せない状況にある。
「足りなければ外国から買えばいい」との見方もあるが、今の世界情勢を鑑みると無責任極まりない発言だ、と云わざるを得ない。

ロシア軍によるウクライナ侵攻など。過去の惨烈な歴史から学び、理性を持ったと思われた筈の今世紀の超大国の暴挙。理由はどうあれ、とても看過できない事態が世界で起きている。
それが現実であり、決して無視出来ない状況に、今、世界のみならず日本も置かれていると云うことを認識しなければいけない。

そんななか、私も幾度どなく当サイトやブログ等で、国防上に於いても食料自給率100%を唱え、ぼやいてきたが、然程進展する気配が見受けられない。
それどころか、米価の下落をただ静観し、更に進む離農の現状を見ているのかいないのか、今の農政に失望感を抱かずにはいられない。
経済合理性のみに力点を置く国の農業政策では、適正な日本の未来図は描けないのではないだろうか。
なにも精神論を唱えているのではない・・・。

私は農産物検査員として、秋になれば新米の検査で神経をすり減らしながらカルトンを鳴らし、新米の出来不出来を観察しているが、今秋は特にその検査数が減ってきたように思える。
確かに、その分気が楽にもなったが、しかしながらそれ以上に、今後訪れるであろう食料危機に憂いを抱かずにはいられない。
検査数減少の要因として考えられるのが、米価格の下落による離農や、高齢化や後継者不足などによる廃業が考えられるが、早急に何らかの手を打たない限り、今後更に米農家の離農が進むことは必至である。

また、前述したウクライナ危機等にともない、肥料の高騰や原材料費の高騰も離農を進める大きな要因と考えられる。
とは云っても、やはり根本的な要因は米価格の安さにある。
前述したように政府は経済の合理性にばかり目を配るようだが、そのことによって日本の耕地面積の40%を占める中山間地は益々置いてけぼりをくらい、疲弊し、離農に追いこまれざるを得ない現実がそこにある。
以前は食糧管理法によって米農家は守られ、それによって後継者の心配も今よりは遥かに少なかった筈だ。
食管法が1995年に廃止されて以来、それに変わる法律が施行されてはきたものの、農家の風通しが益々悪くなってきたように思えて仕方がない。

また、前述したように検査数が減っている要因の一つに、補助金制度の方向性の問題が考えられる。
コメ余りの解消にと、採られた制度だが、2018年(平成30年)に減反政策の廃止に伴い、コメの転作交付金を厳格化することも含め、その結果我々人間が食べるお米を作るよりも、牛や豚が食べる飼料用米を栽培した方が遥かに補助金が高く、全体的な収入も高くなると云った奇奇怪怪な現象が起こっている。
収量など様々な条件はあるものの、人が食べるコメよりも牛や豚が食べるコメを作った方がいいと考えるのは、農家にとってはごく自然な考え方である。

確かに、米余りが問題視されてきたこともあるが、そのことによって政府は年間備蓄量を100万トンを目標とし、それ以外は栽培しないようにとの生産調整から、野菜などへの転作、前述した飼料用米などへの補助金の施策をとっているが、一旦、野菜などに転作した場合や、飼料用専用品種を栽培した圃場は、食糧危機などによって再度一般の粳米を栽培しろといわれても、水捌け云々による耕盤の違いの解消は元より、検査時の異品種混入などを考慮すると、復田はかなり難しいと云わざるを得ないのである。
況してや、一旦休耕地と化した圃場の復田はかなり難しい。

第一、100万トンのお米の消費は、20日程度でなくなるとの試算が出されている。
そんな馬鹿げた生産調整などをやるよりも、本来のあり方、姿である筈の「田んぼは米を作る」を励行し、余ったお米は輸出に回せばいいのである。
万が一の場合は輸出を止め、国内の備蓄を増やすといった貿易量の調整を行えばいいのではないだろうか。
また、もし、万が一、外国からの食料確保が難しくなる事態が起きたものなら、「その時に考えればいいや」では絶対に済まされないと思うのだが・・・。




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