世に問う!言わずにはいられない
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 102.見えてきたTPPの実態 2011年2月9日
昨年の11月、菅総理の所信表明により、前触れもなく突然に持ち上がった環太平洋パートナーシップ (TPP)だが、イメージ的には新興国中国の巨大化する経済に対抗すべく、「お互いに関税を取っ払って自由に貿易できる経済圏を作りましょうよ」とアメリ カが主導して持ちかけてきた経済連携協定だが、元々はシンガポール・ニュージーランド・チリ・ブルネイの4カ国でこじんまりと行われていたようだ。

これにアメリカ、ペルー、オーストラリア・ベトナム・マレーシアとそして侃侃諤諤、喧喧囂囂と特に農業団体から猛反発を受けている日本が、関税の完全撤廃を目指して協定を結ぼうとしている。
単純なイメージで言えば、「この仲間入りを果たさないと鎖国に逆戻りするのでは」或いは、「日本の農業を守るよりも製造業を守った方が国益になるぞ」と言った単純なイメージが先行しているのが現状だ。

しかしながら、果たしてそんなに単純な問題だろうか。
先ず鎖国についていうならば、そもそも今の日本は当然鎖国などしている筈もない十分な程の輸入大国である。幕末の開国のイメージとは全く違ったものである。
その当時の開国は、関税自主権の回復を狙ったものであって、今回のTPPによる狙いは、まったくその逆の関税自主権を失うものである。

また、農業よりも製造業重視、つまり経済を重視するという意見だが、例えTPPの協定を結んだとしても、到底日本の製造業が守る事が出来るという保証はどこにもない。
寧ろ、日本がTPPに協定したとして、アメリカを初めとするオーストラリアやベトナムなど9カ国のうち、GDPの割合でみると、その大半を占めるのがアメリカと日本の2国の割合が非常に高い。

アメリカは今現在失業率も9%を超え、デフレ状態が続く異常事態である。

当然貿易黒字を増やして外貨を稼ぎ、一刻も早くデフレスパイラルから這い出したいともがいている。

その解決策の一つとして、このTPPにより関税を撤廃する事によって、大量にアメリカ製品が日本に雪崩れ込んでくる公算が高いといえる。
敗戦後より、所謂パックス・アメリカーナの支配下にあった日本が、更にその服従心を深めようとしている。

勿論、関税撤廃により大量に雪崩れ込んでくる物品は電化製品や自動車だけではない。「例外を認めない」というのがTPPの大きな特徴である。
形のある物品は言うに及ばないが、サービスや人材までもが雪崩れ込んでくる可能性も大いにあると専門家は指摘している。

経済会やTPP賛成論者は、このTPPの協定に より輸出する日本製品が増える事を強調しているようだが、関税を取っ払う事によって雪崩れ込んでくる輸入の量を凌ぐとは到底考えにくい。
そうなると前出の 「日本の農業を守るよりも製造業を守った方が国益になるぞ」なんて事は、「まったく見当違いではないのか」と言わざるを得ない。

 

ましてや、農産物に至っては農業大国でもあるオーストラリアやアメリカ、また途上国の低価格な野菜や果物、或いは乳製品や魚介類などありとあらゆる農産物 や漁獲物が大量に雪崩れ込んでくることになる。それでも、最初のうちは質の良い日本の野菜や乳製品の需要はある程度続くかもしれない。
しかしながら、次第に日本向け農産物の供給量を増やしてくる事は容易に察しがつく。

例え、農業政策による日本農業の競争力を高めようとしても、土台収穫できる農地面積があまりにも違い過ぎる点を強調せざるを得ない。例えばオーストラリア の場合でいうと、農水省の調べでは農家一戸当たりの平均耕作地面積が約3400haにものぼる。
方や日本の平均はというと、約1.2haなので約1880倍ということになる。

日本の1880戸の農家が共同でやろうと声を掛け合ったとして、1880人の農家が承諾する筈がないではないか。
仮に承諾して1880人で共同経営したところで、売上を1880人で割り振りする事になる。ところがオーストラリアの農家では、勿論農場で働く労働者はせいぜい2〜30人程度だろう。
つまり、多くみてオーナー1人プラス30人の労働者で、単純計算だが、日本の1880人分の売上を出してしまうという事になるのだ。それだけではない、こ れはあくまでも平均である。中には10.000haを超えるファーマーもいるのである。

農業の本質も分からず、農家の実態を知りもしない机上の空論ばかりまくしたてている学者と名の付く連中と政治家が、「競争力のある日本の農業を目指そ う・・・」などと実態の伴わない事を平気で高言しているが、そんなに単純に行く訳がないではないか。
今の日本の農業の衰退を招いた要因の一つに、敗戦後の農地改革があったと私は思っている。しかしながらこの政策は、人道的にみて実に素晴らしい政策であっ た事は紛れもない事実である。TPPへの参加を認める事によって、嘗て人道的に開かれた政策を根本から覆され、尚且つ農の営みの持つ人間としての重要な意 味合いをも打ち砕かれようとしている。

今、TPP参加を承認してしまえば、間違いなく日本の農業は壊滅状態に陥る事は誰の目から見ても明らかだ。国のあり方を一変しかねない関税完全撤廃による 経済連携協定TPP、十二分に熟慮し、議論を積み重ねて決定して頂きたい。
「壊す事」は至極簡単な事でも、新たに作り直す事は本当に大変な事である。一旦荒らしてしまった農地は、そう簡単には再生出来ないのである。



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