世に問う!言わずにはいられない
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116.東京電力注目の株主総会 2011年7月1日
先ごろ、1万人近い株主と、反原発・脱原発を訴えに詰めかけた人々でごった返す中、注目の東京電力株主総会が開かれた。
嘗てないほどの人数と、6時間にも及ぶ過去最長の総会となり、世間が一番注目する原発問題も3号議案として採決された。
テレビ報道などでは、採決の結果原発推進賛成派が80%、反対派は8%と圧倒的多数で原発を推進すべきとの結果のみ報じられた。株主らによる利益最優先主義を考慮すると、ある程度予測していた結果ではあったものの、利益追求、経済優先を掲げ、人知を超えた領域の世界をあまりにも軽視しているかのようで非常に恐ろしさを覚えたものだった。
しかしながら、実際はそうではなかったようだ。

以下は、 浦松丈二氏取材による毎日新聞(デジタル版)を原文のまま転載したもの

28日午前、東京都港区のホテル、ザ・プリンスパークタワー東京周辺は、総会にやってきた1万人近い株主と、反原発・脱原発を訴えに詰めかけた人々でごった返した。10時前、千代田区の東電本店3階大会議室で、報道機関向けの総会中継が始まった。
昨年は総会と同じホテルだったが、今年は「会場の都合」で本店での中継。こちらは打って変わって静か。会場の熱気から取材陣を遠ざけるためでは、と勘ぐりたくなる。

経済誌編集長を経て東電などの企業批評を続けてきた評論家の佐高信さん(66)と最前列に陣取った。壁の注意書きに「撮影、録音、配信につきましてはご遠慮願います」。「これ、どういうこと。あれだけの事故を起こしたのに」。
佐高さんが声を上げた。
取材開始。だが、中継画面が目の前にあるのに、画像が不鮮明で、壇上の役員の顔が認識できない。このハイテク時代、こんな映像があるのか? 顔が見えない。

一方、議題は簡潔だ。昨年度の報告事項と、会社側が提案した取締役・監査役選任の第1号、2号議案、株主402人が提案した原発撤退の3号議案。株主は報告や議案について何でも質問できることになっている。
開会のブザーが鳴った。議長は、代表権を維持したまま留任する勝俣恒久・東電会長(71)が務める。

続いて退任する清水正孝社長(67)から昨年度の事業報告。原発事故関連で「特別損失を1兆776億円計上した」というところで多数の怒号が飛んだ。勝俣会長が議事を進行しようとすると、「動議!」と、会場から声が上がった。
「主語がなく責任がはっきりしないおわびだ。勝俣さん、責任を感じているなら議長は務められないはずだ。信任をとっていただきたい」。議長不信任の動議だ。最初の議決が行われた。

「賛成の方は挙手願います」と議長。大勢の人が手を挙げた。解任か? 続いて「反対の人」。こちらも大勢が手を挙げた。
「反対多数です」と議長。あっさり否決された。どうやって数えたのだろう。会場に入りきれず、別室で映像を見ている株主も多数いるのに。不思議だ。
 

大企業が株式を互いに持ち合う日本で、株主総会は会社提案を追認するだけのセレモニーになりがちだ。東京電力の大株主には東京都のほか、銀行、生命保険会社など大企業がずらり。議長は会社側が、大株主から過半数の委任状をもらっていることを明かした。要するに、採決は“茶番”なのだ。

だが、事故を受けて個人株主たちは肉声を会社にぶつけた。「津波対策を無視した人災だ。現役員と元役員は私財で償ってほしい」という質問に、武藤栄副社長(61)は「法令基準に従ってきた」と法律を盾にした。
「事故直後にデータを隠したために放射能汚染が広がってしまった。あなた方は責任を取っているのか」との質問に、小森明生常務(58)は「情報については当社ホームページなどで発信に努めていきたい」とにべもない。






 

企業対個人。この日の対立軸が鮮明になってきた。
腕組みをしながら画面を見つめる佐高さん。時折、猛然とノートをとり出す。すでに、総会開始から5時間。やっと原発撤退を求める3号議案だ。第二の人生で自然農法を実践するために福島県に移り住んだ浅田正文さんが説明に立った。「私は原発大惨事により石川県への避難を余儀なくされた。

農業、漁業、酪農で生計をたてていた人もすべてをなくした。役員が報酬をもらっていますが、返上して、被災地に回すことは考えませんか」サラリーマン時代に人工知能を開発していたという浅田さんは「原発は人知を超えたもの。人知を超えたものは作ってはいけない。子供や孫たちにツケを回してはいけない。大げさに言えば、私たちは流浪の民になりました。やるせない、無念、言い尽くせるものではない」と思いの丈をぶつけた。
だが、勝俣会長は「株主様のご提案には取締役会としては反対です」とロボットのように答えただけだ。

「(3号議案のうち)定款41条と42条を個別に採決するよう動議する」。
20年以上前から東電株を保有していたという紀藤正樹弁護士(50)が動議を出した。41条は老朽原発の順次停止と廃炉。42条は原発の新設・増設を行わないという内容だ。
「3号議案は踏み絵になっている。反対するなら、将来(の事故)は取締役の資産で賠償してほしい。どうか覚悟を持ってこの問題に取り組んでもらいたい。そうでなければ被災者が報われない。一括決議しないでください。
将来、みなさんの経営責任を問う材料にします」と紀藤弁護士。議案を小分けして議論して採決することで、役員たちの責任もより明確になるはずだ。

過去最長の6時間9分に及ぶ総会の最後の問いかけになった。採決だ。会場の多くが分割採決に手を挙げていたが、勝俣会長は「(大株主の委任状を持つ)代理人を含めて反対多数」と否決を宣言。そして、3号議案も否決された。
佐高さんがようやく口を開いた。
「壮大なすれ違いでしたね。原発を存続させていいのかと問う株主。存続を疑わない役員。
株主が肉声をぶつけても役員たちは最後まで会社のお面をかぶっていた。

最後の動議は役員一人一人に会社のお面を脱いで答えろという非常に鋭い問題提起だった」
近著「原発文化人50人斬(ぎ)り」で、東電の体質と原発推進の文化人たちを強く批判している佐高さん。勝俣会長を「会社のお面をかぶった最悪の社畜だ」と断じる。社畜とは、会社に飼いならされて良心を放棄したサラリーマンを指す造語で、佐高さんが以前から広めている。

「3号議案を一括採決し、否決したやり方からは、事故の責任を感じているとは到底見受けられない。将来を考えるなら、役員一人一人に発言させるべきだった。そこに個人の顔がのぞくはずなのに、それをさせなかった」と厳しい。
不鮮明な中継画面のせいか、人間味のかけらも感じられない東電取締役たち。その姿を目の当たりにし、事故はまた起きるのでは、という不安が脳裏から離れなくなった。



何時戻れるのかも分からない被災者の苦悩や、数百キロ離れているにも係わらずセシュウムの濃度が高いと放牧を禁止され、その牧草を餌として与える事も許されない酪農家の切ない思い。
野菜の出荷を差し止められた農家の怒り、
何より、子供たちの将来に対して、底知れない不安を抱える親たちの憤りを目の当たりにしているにも係わらず、東電役員らは経営の事、会社の存続の事しか頭にないようだ。何時しか、本当の意味での、企業の持つ社会的な責任や理念を忘れてしまったようだ。


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